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引きずる悩みは一時駐車を...元W杯代表選手も実践した「不安が落ち着く思考法」

西多昌規(精神科医)

2022年12月23日 公開

引きずる悩みは一時駐車を...元W杯代表選手も実践した「不安が落ち着く思考法」

日本人は、他の国の人々に比べて遺伝子的にうつになりやすいということが判明しています。では、日本人がネガティブな感情を上手くコントロールするにはどうしたらいいのでしょうか。精神科医の西多昌規さんが解説します。

※本稿は、西多昌規著『引きずらない人の習慣』(PHP研究所)より、一部を抜粋・編集したものです。

 

性格は遺伝子だけで決まる?

「うちの親はネガティブ思考だからなぁ」と、自分の引きずりやすさを親譲りと思っている人もいるかもしれません。「引きずりやすい」あるいは「引きずりにくい」性格は、生まれつきのものなのでしょうか。それとも育った環境によるものなのでしょうか。

性格が遺伝子で決まるならば、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児はまったく同じ性格になるはずです。たとえ異なる環境で、別の人に育てられたとしても、です。

数多くの双子の研究をまとめると、性格の30~50%は遺伝で、50~70%は環境による影響が大きいという結果でした。親譲りの性格であっても、環境の影響が大きいということは、自分自身の努力によって、性格を少しずつでも変えていける可能性があることを示しています。

 

セロトニンを調整する遺伝子

セロトニンは、うつや不安を和らげる神経伝達物質として知られています。このセロトニンのやり取りを調節しているのが、セロトニントランスポーターというタンパク質です。

そして、このセロトニントランスポーターの機能をつかさどるのが、セロトニントランスポーター遺伝子という遺伝子です。

セロトニントランスポーター遺伝子には、情報の文字数が短いS遺伝子と、長いL遺伝子の2種類があります。

遺伝子は父と母から1つずつもらうので、短いS遺伝子どうしのペア(SS型)、短い遺伝子と長いL遺伝子とのペア(SL型)、長いL遺伝子どうしのペア(LL型)の3タイプに分類されます。

ストレスのかかる状況に置かれると、SS型の人のほうが、SL型やLL型の人に比べて、不安やうつになりやすいことが研究でわかってきました。

わたしたち日本人にとってショックなことは、日本人にはSS型とSL型が多く、アメリカ人にはSL型とLL型が多いという結果です。つまり、日本人は引きずりやすく、アメリカ人は引きずりにくい、ということになります。

 

環境が遺伝子からの影響を変える!

遺伝子だけで人間の性格が決まるのであればショックかもしれませんが、先にお話ししたようにそうではありません。

社会や環境が、遺伝子によってプリインストールされた影響を、変えてしまう可能性が十分にあるわけです。遺伝子と環境とは、相互に影響を与え合っていると言っていいでしょう。

たとえばうつになりやすいと考えられているSS型の人であっても、社会的な関わりやサポートがあれば、うつになりにくいという調査もあります。近年注目されているポジティブ心理学は、まさに経験と環境によって、こころのしなやかさをつけていこうとする学問です。

「引きずりやすいのは親譲り」と決めつけてしまうのは間違いです。

遺伝子は、一生変えることのできない「運命」ではありません。まわりの環境によって、遺伝子の影響を変えることができます。そして、自分が他人や周囲に関わっていくことこそが、自分にとっても望ましい環境をつくっていくわけです。

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