
就職してから時間がたってくると、さまざまな悩みを抱える人が多くなります。
入社前に抱いていた理想や希望がなかなか実現できなかったり、仕事の忙しさや人間関係に悩むあまり転職を考え始めたり...。そうすると「今とは違う場所でもうまくやっていけるだろうか」と気になってくるものです。
そのような時は、会社のようなビジネスの場ではどのような人材が求められているかをよく考えてみましょう。会社が社員に期待していることは、「成果を出すこと」です。
本稿では、書籍『どこでも通用する人は入社1年目に何をしているのか』より、どんな場所でも成果が出せる人材になるための思考について解説します。
※本稿は、原マサヒコ著『どこでも通用する人は入社1年目に何をしているのか』(総合法令出版)の一部を再編集したものです
ミスの原因を明確にする"5つのM"とは
いくら失敗の経験も大切だとはいえ、同じような失敗をくり返してしまうのはいけません。ミスしたことを受け止めて、くり返さないためにはどうしたら良いかを熟考していきましょう。
そのためには、根本から仕事のやり方を変えることが重要です。ミスが起こらないような仕組みをつくるために、今までのやり方を変える必要があるのです。
私も入社1年目の時に会社の上司から言われた「人を責めるな、仕組みを責めろ」という言葉を、今でも大切にしています。「何かミスが起きたら人を責めても仕方がない。そのミスが起きてしまった仕組みに問題がある」と考えるわけです。
ですから、ミスについて上司が部下を叱責するのは、あまり意味がないことだといえます。また、ミスをしてしまったからといって自分自身を必要以上に責めても、仕方がありません。
ぜひとも仕事のやり方や進め方のほうにフォーカスして、どう変えればミスが起きないかを考えてみるようにしましょう。
そのためにも、まずはミスが起きた時に原因を明確にする必要があります。ミスや失敗はほとんどが人為的なものですが、まずは"コト"としてとらえていきましょう。
"コト"とはつまり、感情的にならず「何が起きたのか」と事実を冷静にとらえるということです。"コト"としてとらえるためにも、次の"5つのM"の順番で原因を探っていくと良いでしょう。
①Mission(ミッション)
使命や目的を取り違えていなかったか?
目的と手段の混同はなかったか?
②Machine(マシーン)
使用したツールや機械に不備やトラブルはなかったか?
③Media(メディア)
関係者とのコミュニケーションや情報伝達の仕方に問題はなかったか?
④Management(マネジメント)
業務を遂行する際のマネジメント手法に問題はなかったか?
⑤Man(マン)
実行した人のコンディションやモチベーションに問題はなかったか?
4つ目の"Management"については、立場的に入社1年目で考えることではないかもしれませんが、それ以外についてはしっかりと確認しましょう。そのうえで、該当するものがあればしっかりと向き合って追求していきましょう。
ミスが起きた時に、とりあえずその場をやりすごして仕事を進めるケースがよくありますが、それでは原因がそのまま放置されてしまい、再び同じミスが起きる可能性が残ります。しっかりと向き合って追求する姿勢が、このうえなく重要になるのです。
“ミス専用ノート”で間違いを可視化する
多くの職場では、小さなミスや初めてのミスの場合に「なぜミスが起きたのか」といった原因究明に時間をかけられることはなく、「以後、ミスをしないように気をつけます」という"対策とは呼べない対策"で片づけてしまう傾向があるように思います。
上司も「これから気をつけてね」などと言っていますが、気をつけるだけでは何も解決できません。おすすめしたいのはミス専用ノートをつくって書いていくことです。
どんなミスにも必ず原因があります。その原因を追求することなく「気をつけて」などと言うだけでは、ミスをくり返すだけです。ですから、ミスをしたあとには以下の3点をノートに書いて振り返りをしましょう。
・どのようなミスだったのか(状況)
・なぜそのミスが起きたのか(原因)
・同じミスをしないために何をすべきか(対策)
このノートのポイントは2つあります。
1つはミスに向き合うということ。
そしてもう1つは、可視化することです。
ミスというものは誰しも目をそむけたくなったり、なかったことにしたくなったりするものです。しかし、ミスを隠すとあとで何倍にもなって返ってきます。
大切なのは同じミスをくり返さないことですから、そのためにも、一度してしまったミスはしっかりと可視化して向き合いましょう。そうすれば、対策をじっくり考えていきやすくなります。
もちろん、初めてミスをしていますから"対策"といっても正解がわからず、何を書いて良いか迷ってしまうかもしれません。その際には経験豊富な先輩や上司に相談し、どのような対策が考えられるかを聞けば良いのです。
ミス専用ノートを使って何度でも振り返りをし、ミスの再発を防止していきましょう。
そうすれば、気がついた時にはあなた自身が成長を遂げているはずです。