(写真:阿久津知宏)
<<猫背が与える悪影響を説明しながら、かんたんに猫背の改善する方法をまとめた『医者が考えた 猫背がなおる30秒ストレッチ』を上梓した順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏。
小林医師があえて猫背をテーマに執筆した背景には、数々の診療経験を通して見た猫背の弊害と、自らも猫背の改善させたことで"人生が変わった"とも言える体験をしたことにある。
ここでは、同書より猫背が定着してしまう理由とその弊害について説明した一説を紹介する。>>
※本稿は小林弘幸著『医者が考えた 猫背がなおる30秒ストレッチ』(PHP研究所刊)より、一部抜粋・編集したものです。
猫背が定着してしまうのはなぜか?
バレエやヨガ、モデルなどをやっている人でもない限り、「私は姿勢に自信があります!」という人は、多くはないでしょう。
また、"立っているときはいいけど、座ると姿勢がくずれやすい"という程度の人は、自分が猫背という自覚がない場合もあります。気づかないけれど姿勢が悪い、いわゆる「かくれ猫背」という人です。
ちょっと周囲を見回してみましょう。
会社の同僚や学校の友人はデスクで背中を丸めていて、街中や電車内では多くの人がスマートフォンを覗のぞき込んで、やっぱり猫背になっています。
それは、あなた自身の姿でもあります。
パソコンやスマートフォンを操作したり、ノートにペンで書き込んだりするとき、それらはたいてい下にあるので、首を前に倒します。
身体は『楽な状態』を知っています。荷物を右手だけで持っていたら、無意識のうちに左手に持ち替えたりしますよね。身体は思考よりもよっぽど賢いのです。しかし実は、この"身体の賢さ"に罠があります。
たとえば本やスマートフォンを持って、目の高さで読んだり操作したりしてみてください。意識しているうちはいいのですが、集中してくると次第に、腕は低く下りて、首は前傾してくることでしょう。
つまり、姿勢が悪い人にとって猫背は、机の上や手に持ったものに集中するためには、楽な姿勢と言えるのです。
少しの間ならいいのですが、毎日何時間もそんな姿勢で目を酷使していると、猫背の姿勢が定着してしまいます。
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姿勢がいいのに"背中にこりを感じる人"が疑うべき「かくれ猫背」