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「10代の男女を動かす」話し方…予備校講師がたどりついた結論

犬塚壮志(士教育代表取締役)

2019年10月31日 公開 2023年01月30日 更新

 

相手が動く「黄金の4ステップ」

その伝え方とは、聴き手自らが率先して動けるようモチベートする説明スキルです(これを心理学用語で内発的動機づけといいます)。その説明スキルを一言でいうと、「行動することで相手が得られるメリット+具体的な手順を伝えること」となります。実際には、以下の4ステップで説明していけばいいのです。

Step1 相手の問題点を炙り出し、それを解決すると良いこと(メリット)があるということに気づかせる

Step2 似た問題点をすでにクリアした人の成功事例を紹介し、聴き手の頭の中に成功のイメージ像を描かせる

Step3 自分(話し手)がそのメリットを提示するに値する人間だという理由を説明する

Step4 メリットを享受できる具体的な手順を説明する

このステップで説明することで、生徒は自ら率先して勉強に励むようになり、その行動も短期的なものでなく継続性が出るようになりました。
それではこの各ステップを、具体的に解説していきますね。

 

相手の「そのうちに……」を防ぐためには

Step1ではまず、聴き手に「解決すべき問題があるじゃないですか?」と伝えます。たとえば受験を例に挙げると、ある入試問題において普通に解くと20分かかってしまうようなものでも、ある解き方をすると5分で解けてしまう解法が多々あります。

でも、ほとんどの受験生がその事実を知りません。「解くのに無駄な時間を使ってしまっている」という問題点を、受験生本人が自覚していないのです。その問題点の存在を受験生に伝えるだけで、「解決したい!」そう思わせることができ、相手の中に“動く理由” を創り出すことができるのです。

次にStep2では、すでに問題をクリアした人の成功事例を簡単に紹介します。聴き手の頭の中に、行動後の具体的なイメージを描かせることができるのです。

そしてStep3では、自分(話し手)がそのメリットを提示するに値する人間だという理由を、これまた簡単に説明します。こちら(話し手)に対する信頼感を相手に持たせることが目的です。相手の中にある“行動に移すことの不安”を取り除くことができるのです。今回の話の冒頭でも、

「私はこれまで20年近く予備校講師という仕事をやってきて、受験勉強に抵抗のあったのべ1万人以上の生徒たちの行動を変えてきました」

このように、聴き手のメリットを自分(話し手)が提示できる理由を、経歴や実績などの事実ベースで伝えることでより説得力が増します。

最後のStep4ですが、このステップが実は最も重要で、かつ見落としがちなステップとなります。ここでは、聴き手がどういう手順を踏んで動いていけばメリットにたどり着けるかを説明するのです。ここでの“具体的なステップ”は、時系列で話していけば、聴き手は理解しやすく、その後の動きがスムーズになります。例えば、

「まず初めに○○をし、その次に××をします。そして最後に△△をします」

このように、相手の行動の流れを時系列で説明していくのです。
なお、Step3で説明をやめてしまうと、聴き手は「そのうちに……」と思い始め、そのまま話したことが忘れ去られてしまう可能性が高くなります。そのため、Step4までしっかり説明するのがコツとなります。

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「具体性」は人を動かす

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